おくさまのすてきな暮らしっぷり。

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海猫。

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今朝、相方のイナバウアはキレが悪かった。
「俺、どうやら、乳の筋肉を痛めたようだよ・・・」
いわんこっちゃない・・・

三月だというのに風が冷たいですね。

さて、本日はおくさまの読書感想文をまた披露しちゃいましょう。

実は、今日ご紹介する小説の読書感想文を書くにあたりおくさまは四苦八苦。

なぜなら・・・
女三代恋愛大河小説だから。
一番苦手とするジャンルでございます。

では・・・
なぜそんな苦手ジャンルを読んだのかと申しますと・・・

てっきりアブノーマルな世界が描かれているのだと勘違い。

映画化されているそうなのです。見てませんが・・・
禁断の愛とか悲恋の物語とか・・・
佐藤浩市殿や仲村トオル殿が出演なさってるとか・・・
濡れ場がどうのこうのとか・・・
映画はイマイチだったというご意見もちらりほらりと・・・
そんな感じで谷村志穂さんの作品を初めて読みました。
『海猫』でございます。

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「中途半端な弱さを抱えて愛だけ深くては人は生きてはいけないのだから。」
物語の前半のヒロイン・薫の母で後半のヒロインである薫の忘れ形見の姉妹達の祖母でもあるタミの言葉が印象的でした。

愛に正直に生きるというのならより強く生き抜く力が必要なんだなと思いました。


要点もつかめない感想文しか書けないわたくしが言うのもなんですが・・・
なっ、何?って感じでおはなしが意味不明に展開しちゃうときがあるんですよ。
ページを後戻りしたりする事もしばしばでしたが・・・

時代、風土、営み、男と女・・・
背景と人間関係が複雑に溶け合いながら人と人との人生が繋がり物語が展開してゆく
その上手さはなかなか読ませてくれますよ。

20数年間の北国の愛に生きた女たちの物語は後半がお勧めです(謎)。


では、物語を熱く語りましょう。
語りつくしちゃってるのでネタバレしてますし、長い長い感想文です。
いつものことです。ごめんなさい。






昭和30年代、冬・・・
港町で賑わう函館から雪深い峠を越えて南茅部という昆布漁を営む漁村に美しい娘が嫁ぐところから物語が始まります。

母・タミとロシア人の血を引く父との間に生まれた美しい娘、薫。
「海猫みたいな目しとる・・・」
24歳の漁師、邦一のまっすぐさを信じて20歳の薫は赤木家に嫁ぎます。

薫の母・タミはロシア人の血を引く青年と駆け落ちし薫と孝志が生まれた。
戦争で夫は帰らず戦後、満州から引き上げ女手ひとつでふたりの姉弟を育てました。

薫は邦一によって女の喜びを知り漁師町の暮らしに溶け込み赤木家の家族のひとりとしても幸せを感じてもいました。

やがて美しい娘にも恵まれたのですが・・・
昆布漁は夫婦の深い絆で成り立っている。
その深い絆が微妙に狂いだす。

凍えた人形のような美しすぎる妻とは対照的な魅力を感じる女性と付き合い始めた夫・邦一。

赤木家での婚礼の宴の日に初めて出会った兄嫁の薫をずっと心から見守っていたいと思っていた義弟・広次。

夫への愛を見失い自分と生まれたばかりの娘を広い心で包んでくれた広次への思い。

愛し合うふたり。身体を求め合ったふたり。

薫が広次の子供を身ごもったことから赤木家が崩壊してゆきます。

物語の前半は何かとんでもないことが起こりそうでそれほどたいした事が起こらない。

そんな中で展開される薫と広次との禁断の愛が実を結ぶ。
薫は女の子を産みます。

事実を知った邦一は・・・
事実を知られた薫と広次は・・・

海猫たちが群がる海は鮮血で染まる。

ひとりが勝手な事をすればみんなを傷つけて心を狂わし今を壊してしまう。

薫の最期は自業自得じゃない。
ってか・・・
貴女は何をしたかったの?何を求めていたの?

広次の最期だって理解できない。

ふたりのその結末が哀しくドラマチックなのにもかかわらず
なぜかおくさまが勝手に想像していた禁断の愛に対する興奮が醒めてゆく・・・。


禁じられた恋。
一線を越えるのなら強い覚悟で現実と向き合うべきでしょう。
あまりにも弱すぎたふたり。
だからって同情もしない。
だって誰もを不幸にしただけでしょ。

と、ここまでが前半なんですよ。

読むのに一週間ほどかかちゃいました。
たかが、300ページ余りなのに・・・

禁断の愛って、ちっとも面白くない。ってのが正直な感想でした。


前半は厄介で消極的な読みっぷりでした。
けどね、後半はめっちゃ良かったぁ!
あっ。だからって後半だけ読めばいいという問題じゃないですよ。
前半の登場人物たちのそれぞれの愛のかたちが実を結び後半の物語の中で確かな愛がおくさまの心に溢れて迫ってきましたから。


時代は昭和50年代。舞台は函館。
薫が産んだ二人の娘の人生とタミの人生、彼女達に関わる人たちの物語が描かれます。

赤木家とは縁が切れ、薫の母、祖母のタミのもとで大学生と高校生になった姉妹。

将来は確かな足取りで生きてゆくことを薫が残したふたりの孫娘から感じ取りながら育ててきたタミ。

タミにとっては娘の(姉妹にとっては母の)起こした許されない事件・・・
その後、寄り添って暮らしきた祖母と孫娘たち・・・
そんな彼女たちが健気でした。

姉妹達はお互いに自分に無いものを持っている人に惹かれてゆきます。

妹は、好きになってはならない人を好きになり壊れてしまいます。
不義の愛に身を置いた両親と自分の罪に惑う痛々しさが健気でした。

20歳で学生結婚し妊娠してからも姉は別の愛に走った母と伯父を海の底に追いつめた父・邦一の罪を背負いながら愛するか憎むかどちらかしかないのなら憎んで生きる。そうやって生きてきました。

彼女達がどんな思いで生きてきたのかを思ったら胸が痛みました。

愛する悦び、愛する苦しみを知って姉妹は海猫に呼び寄せられるかのように母が嫁ぎ、自分達が生まれた赤木家のある南茅部へ・・・

登場人物たちに共感できる部分と出来ない部分が半分こ。
男女の合体描写が多くってちょっとお腹一杯かな。
そんなにいいものだったのかと目から鱗が落ちました。
はい、要らんひとことですね(苦笑)。

読み応えのある物語でした。
こんなところまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
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by pinko_okusama | 2006-03-02 17:03

専業主婦・おくさまのすてきなはずがすってんころりんな暮らしっぷり。そんなえらいこっちゃでそやけど幸せな日々の記録です。


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