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おくさまのすてきな暮らしっぷり。

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浅田次郎さんの『終わらざる夏』を読みました。

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浅田次郎さんの長編の群像劇は壮大で壮絶。
読み応えもあって大好きなんですけれど読めば読むほど浅田次郎さんらしさに
馴染めなくなって来ちゃってここ最近は浅田次郎さん離れしていました。

去年の夏に出た本書は戦争が終わった直後に千島列島最北端の占守島で始まった
ソ連軍との戦いをテーマにしたおはなしだということで買って読んでもいいかなぁって思ったん
だけどなんせ浅田次郎さん離れ中~なもんですから無難に図書館で予約待ちすることにしました。
比較的早い段階で予約したにもかかわらず、半年も待ちました。
おくさまの後、予約待ちの方が79人。

ソ連とは不可侵条約があったにもかかわらず、敗戦間近に一方的に攻められた。
満州や樺太の真岡での悲劇は他の小説やドラマや映画でその当時の不条理さを知った。
8月15日、降伏したにもかかわらず、続いていた闘いもあった。

そしてもう降伏したのに、戦争は終わったのに、その直後から始まったもうひとつの戦争が
ソ連との間で占守島で起こったってことをこの小説で知りました。

ってか、この最北端の島のこと、知りませんでした。
わたし、知らなかったことが、多すぎるのかも。
自分の暮らしているお国のことなのに。
初めて知って、不条理さにくやしさでいっぱいになりました。
丁度あの頃、いろんな事情が重なって日本の精鋭部隊が島に取り残されたまんまだった。
攻められたら闘うもの。戦争は終わっても闘うもの。
自分たちのお国の領土だもん守るのは当然だし。
戦争で失ったもの多いけど、もう失いたくないもの、いっぱいあったんだもん。
ほんまに守らんとあかんもんがそこにはあったんやもん。
守ったことで恨み買ったったなんてそんなことあってええの?悔しい。
でも、なんで、戦後、ここまで、されんとあかんねん。
65年前のそれを今もまだ引きずってる現実をどうすればいいんだろう。
知らんかったとかって、今生きてる人たちがぼっさりしてたらあかんよな。
だからって、わたしに何が出来るやろか?

物語ではこの占守島へ送られた兵士たちや缶詰工場で働く女子学生や
その地に暮らす人たち、そして兵士たちが歩んできた戦争とその人生、
残してきた家族たちの戦時下を生きた人たちの人間模様が描かれていました。

正直言って、読みにくく、読み辛いとこ、いっぱいありました。
特に、後半はグタグタしちゃって読み飛ばしちゃおうって何度も思いました。
浅田次郎さん的ファンタジーにどうもなじめなくって、でも、そこを読み飛ばすと
ずっと物語を引っ張ってきた登場人物たちがどうなったのかを知れなくなっちゃうから我慢して読みました。

我慢して一文字も読みこぼさず読みました。
たくさんの人たちがどう生きたのか、どう生き抜いたのか、ちゃんと、読みたかったから。

直接闘った兵士さんたちだけでなく武器を持たない銃後の人たちも懸命に耐えて忍んで
生き抜いてからこそこの国が守られたんだなってこの物語を読んでそう感じられました。
そしたらこの物語がとてもいとおしいと思いました。

どのお国の人たちも戦争と直面したのはあたりまえの普通の人たちだったんだなって思ったらしんみりするやら大きなため息をつくやらで、とてもせつなかったり。
by pinko_okusama | 2011-03-01 01:03 | 読みっぷり。

専業主婦・おくさまのすてきなはずがすってんころりんな暮らしっぷり。そんなえらいこっちゃでそやけど幸せな日々の記録です。


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